自分の将来を考える「終活」の中でも、よく話題にあがるエンディングノート。
書店などでみかけることも多くなりましたが、種類や形式がたくさんで選べない。
自作しようにも何から始めたらいいのか分からない。
家族のために役立つとは言われても項目もたくさんあって、ひとり黙々と書きこむのは「面倒くさい、大変」と、つい億劫になってしまいますよね。
しかし、エンディングノートの書き方に決まりはないので、あなたが伝えたいことだけを書き記するだけでいいのです。
とはいえ、あなたが急な事故や病気で気持ちを伝えられなくなってしまうこともありますよね。
そんな時に、家族にとって必要な項目が書かれていないと迷惑をかけてしまいます。
簡単なステップで作成して、生活の変化に合わせて更新できる仕組みを作りましょう。
50代におすすめのエンディングノートとは
市販のノートと自作のノート
書店をはじめ、ダイソーやセリアといった100円ショップでもエンディングノート・終活ノートを見かけるようになりました。
市販のノートには、自分の基本情報をはじめ書き込む項目が想像以上にたくさんあり、書き始めることに身構えてしまいますよね。
すべての項目を書き込む必要はありませんが、あまり項目が多いとエンディングノートを作ることそのものが面倒になってしまうこともあります。
その点、自作のノートですと 1冊のノートを準備して 思いついたことを 思いついたときに書きとめるだけでいいので続けやすいかもしれませんね。
デジタルエンディングノート
最近はインターネットを利用して、パソコンやスマートフォンで手軽に記録できるサービスも増えてきました。
デジタルエンディングノートを利用するには、前もってアプリのダウンロードや会員登録をしておきます。
アプリやサイトによっては、必要なときに決めておいた人にエンディングノートを届けるなど、いろいろなサービスも利用できますよ。
また、スマホの操作に慣れていない年配の方に向けて音声入力を利用できるなど便利な機能もたくさんあります。
自分に必要なサービスを提供している企業やアプリを探してみてくださいね。
50代からエンディングノートを作るデメリット
ネガティブな気持ち
エンディングノートというと、人生の終わりを意識して気持ちが沈んでしまう方もいるかと思います。
エンディングノートは、この先の人生をあなたらしく生きていくために書くものなので、必要以上に将来への不安を感じることはありません。
書きすすめるうちに楽しかったことなどをあれこれと思い出し、人生を振り返る有意義な時間になりますね。
深く考えすぎずに、気軽に始めてみるといいですよ。
家族への影響
あなたがエンディングノートのことを話題にすると、家族はあなたの死を意識して不安になったりするかもしれません。
終活やエンディングノートについては、日ごろ話す機会があまりないので、急に話題にのぼると戸惑ってしまうのも当然のことです。
エンディングノートの本来の役割を伝えて、家族と一緒に将来について前向きに話し合い、不安や疑問をひとつひとつ取り除いていくことで解決できますよ。
経済的負担
エンディングノートを書くことそのものには、ノート代程度しか費用はかかりません。
ただし、エンディングノートを書いているときに、終活関連のサービスの利用や保険・資産の見直しを専門家に相談するなど費用がかかる場合がでてくるかもしれません。
将来の自分のためですから、必要があると思ったときには利用してみるのもいいでしょう。
情報管理のリスク
エンディングノートには個人情報や加入している保険や利用している銀行などの詳細を書き記すことになります。
したがって、紛失や盗難被害にあわないような保管方法や保管場所に注意することが大切です。
デジタルエンディングノートの場合は、パスワードやセキュリティの対策を行いましょう。
50代からエンディングノートを作るメリット
自分と向き合う時間がもてる
50代でエンディングノートを書き始めることで、落ち着いて自分自身と向き合う時間が持てます。
とは言っても、仕事のこと家庭のことで毎日忙しく、落ち着いた時間を取るのは、なかなか難しいことですよね。
エンディングノートは、決まった形式もなく、思いついたことを少しづつ書いてもいいので まとまった時間が取れなくても大丈夫です。
心穏やかな老後を過ごすためにも50代というタイミングで人生を前向きに振り返り、心の整理をつけてみましょう。
健康なうちに準備する
50代になると三大疾病をはじめ、様々な病気を発症する人が増えてきます。
- 50代になると男女とも、肝臓がん、食道がん、胃がん、肺がんなど、さまざまながんになるリスクが高くなります。* 独立行政法人国立がんセンターがん対策情報センター「がんの統計2021」による
- 50代の脳卒中の患者数は、40代の2倍以上です。* 厚生労働省「平成29年 患者調査」による
- 心筋梗塞を含む虚血性心疾患は50代から急増し、患者数は40代の2.5倍以上です。* 厚生労働省「平成29年 患者調査」による
エンディングノートを書くときには、連絡先をまとめたり、保険などを見直すなど時間や手間がかかる作業が必要なこともあります。
病気や年齢によって気力や体力が衰えると、このような作業は億劫になるので早めに始めるのがいいですね。
大切な人と話し合うチャンス
50代になると 子どもが成人している方も多いのではないでしょうか。
それぞれの仕事や生活の時間があるので普段、一緒に過ごすことが少なくなってきますよね。
あなたがエンディングノートを書き始めることは、家族や子どもたちと話し合ったり意見を聞く いい機会にもなるので、大切な人たちと相談しながら書くことをおすすめします。
あなたのこれからの人生を考えるとともに、家族それぞれの将来の希望や理想の生活を語り合う大切なひとときになりますよ。
未来へ備えるお金の計画
エンディングノートを書くことであなたの収入や資産の状況が整理されて、問題点がみえてくるかもしれません。
加入している保険の内容や年金についての確認をしておくことも大切です。
現在の資産状況や年金の見通しなどを参考に、これからのライフプランを立てて、より充実した老後を送るための準備を始めてください。
また、相続対策の準備も始めておいたほうが良いですね。
正式な相続内容は、決められた書式で遺言書に書き記しておかなければいけませんが、そこに至ったあなたの想いはエンディングノートに記しておくといいでしょう。
不安を安心に変えられる
50代ともなると、ちょっとしたきっかけで自分の老後が急に近くに思えて 何とも言えない不安を感じることもありますよね。
エンディングノートを書いておくことで、病気やけがなど万一のときの医療や介護への希望をはっきりと家族に伝えることができます。
エンディングノートに書き記すことで、治療などの選択を迫られたときにあなたの考えを尊重して決定できるので家族の負担も軽減できます。
急な場面でもエンディングノートを早めに準備しておくことで 不安なことが一つ減りますね。
50代のエンディングノート作成の準備
- 自分の基本情報の整理
- 家族や親しい人の連絡先の確認・整理
- 財産・資産のリストアップ・整理
- 健康情報のまとめ
- 遺言書、契約書などの重要書類の整理
これらを前もって準備しておくことで、スムーズにエンディングノートを書き始めることができます。
50代エンディングノートの書き方
エンディングノートには決まった書き方はないので、あなたの書き残したいことだけを書いていいのです。
一気に全部を書き上げるのではなく、自分のペースで少しづつ進めることで負担もなく、楽しんで取り組むことができますよ。
気を付けておきたいのは、エンディングノートには法的効力がないので、相続財産などについては遺言書に記載しておくことが必要です。
エンディングノート | 遺言書 | |
法的効力 | ||
書き方 | (PC・スマホも可) | 決まりはないので自由に(自筆のみ) | 決められた形式で書く
内容 | 自分のこと 医療、介護のこと 葬儀について など | 相続の指定や相続人について 遺言書の執行に関すること 相続財産の処分 など |
50代エンディングノートに書く項目
基本情報(必須項目)
◆あなたの基本情報
- 氏名
- 生年月日
- 現住所・本籍地
- 血液型
- 家族
- マイナンバー・運転免許証・健康保険証の番号と保管場所 など
携帯電話やインターネット、自分が契約しているものや利用しているSNSなどの個人情報についてもまとめておくと家族は助かります。
利用しているもの | 契約先 | ID | パスワード | 支払い方法など |
スマホ | 〇〇〇〇○○ | □□□□□□□ | △△△△△ | クレジットカード |
インターネット | 〇〇〇〇○○ | □□□□□□□ | △△△△△ | 銀行引き落とし |
電気 | 〇〇〇〇○○ | □□□□□□□ | △△△△△ | クレジットカード |
SNS① | 〇〇〇〇○○ | □□□□□□□ | △△△△△ | |
SNS② | 〇〇〇〇○○ | □□□□□□□ | △△△△△ |
これらに加えて、生まれてから現在までの自分史や趣味・特技、大切な思い出などを書くことでこれまでの自分を見つめなおし、これからの人生をどう生きたいのかを考えるいいきっかけになります。
財産の情報
- 預貯金
- それ以外の現金
- 不動産
- 有価証券
- 保険
- 貴金属
- 骨董品などのコレクション など
通帳や印鑑、保険証書や健康保険証の保管場所などは家族でも知らないことが多いので、書いておくことをおすすめします。
保管場所を書いておけば 万一の時に家族が対応しやすくなりますので、ぜひ書き記してくださいね。
ただし、銀行口座の暗証番号やクレジットカードの番号などは、ノートを紛失した場合に不正に使用される恐れがあるので記載ししないでおきます。
遺言書ではないので、遺産相続に関して書かれていても法的効力は発生しませんので ご注意ください。
医療・介護の希望
- かかりつけの病院
- 持病、アレルギー
- 常用している薬
- 延命治療や緩和ケアについて
- 希望する介護施設や介護内容 など
この先、突然の事故や認知症、大きい病気などで自分の気持ちを伝えられないことがあるかもしれません。
そうなったときに備えて元気なうちに延命治療を望むのか?介護が必要になったときにどうしたいのか?など、自分の希望を書きます。
葬儀やお墓の希望
- 希望する葬儀の内容
- 喪主をして欲しい人
- 招待したい参列者とその連絡先
- 宗教、宗派
- 葬儀社の指定
- 葬儀の費用
- 納骨に関する希望
- お墓についての希望 など
自分の希望と家族の意見が合わないこともあるかもしれませんので、ここは家族や親しい方と相談しながら書いておくと、いざというときに家族も迷わず対応できます。
ペットの情報
- ペットの名前
- 種類や年齢
- ペットの性格
- 好きな食べ物、好きなおもちゃ
- かかりつけの病院名、所在地 など
一緒に暮らしてきた家族の一員であるペットについても、万一のときにお世話をしてくれる人が困らないように必要なことを書いておくといいですね。
大切な人へのメッセージ
家族や友人など大切な人へのメッセージを、エンディングノートに書き記してみてください。
普段、面と向かって自分の気持ちを伝えるのは照れくさくてなかなかできないものですよね。
1人でじっくりと取り組むエンディングノートなら、家族を大切に思っていることや家族・友人への感謝の気持ちを素直に書くことができるのではないでしょうか。
エンディングノートに書き記すことで昔の楽しかったできごとなどを思い出して、あらためて幸せをかみしめるひとときになるかもしれなせん。
そしてまた、いつの日かエンディングノートを読む家族や友人も同じく幸せな気持ちになりますね。
50代のエンディングノートの注意点
分かりやすいエンディングノート
家族が読んだときに、その内容がすぐに理解できるように分かりやすい言葉で書きます。
難しい専門用語や回りくどい文章では、あなたの気持ちや希望がうまく伝わりません。
伝えたいことを簡潔にまとめておくことで、家族に喜ばれるエンディングノートになりますよ。
定期的に見直す
エンディングノートは半年から1年に一度は見直しましょう。
あなたの個人情報や医療に関すること、連絡先などは時間がたつにつれ変更になることもありますよね。
日々の暮らしの中で、将来への希望や気持ちにも変化があるかもしれません。
ですから、エンディングノートの定期的な見直しが必要となってきます。
一年に一度あなたの誕生日にエンディングノートを見直すことをおすすめします。
家族に共有する
エンディングノートを作ったら、家族に保管場所を知らせておきましょう。
せっかくエンディングノートを作っても、いざという時に家族に見てもらえないと残念なことになりますよね。
あなたの希望や気持ちを正確に伝えるエンディングノートがあれば、万一のときに家族の「どうしたらいいのか分からない」といった不安を軽減できます。
よくある質問
エンディングノートは無料で作れますか?
エンディングノートは、家にある使っていないノートに書くこともできますので無料で始まられます。
また、デジタルエンディングノートを無料で利用できるアプリやサイトもありますよ。
エンディングノートを書いている割合は?
日本トレンドリサーチが2023年に実施した調査では、50代で8.0%、60代10.7%、70~74歳22.5%、75歳以上23.3%がエンディングノートを準備しているそうです。
年代が上がるにつれ割合は増えてはいますが、実際にエンディングノートを作成している人はまだまだ少ないですね。
まとめ
エンディングノートを作成することは、あなたの希望や想いをしっかりと家族に伝えることとなります。
また、あなたの意志を家族に正確に知らせることで、万一の時の家族の負担を軽減することができますね。
今までの人生を振り返り、これから先の豊かな未来へと進む一歩にもなるエンディングノートをあなたも書いてみましょう。
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